ドイツはヨーロッパ最大の市場であり、最大の稼ぎ頭でもあります。
ヨーロッパ大陸の中央に位置し人口は8,200万人、経済規模は3兆4,000億ドルとEU(ヨーロッパ連合)で最大。世界第4位の経済国です。
2016年には世界最大の経済黒字国になりました。
1990年の東西ドイツ統一によって、2000年代のはじめまで経常収支は赤字を計上していましたが、2002年に黒字に転換。
その後は経常黒字の拡大基調が定着していったのです。
EU内で最も低い失業率
経済パフォーマンの高いドイツは失業率からもわかります。
2015年のドイツの失業率は4.6%と、EU加盟国の中で最も低くなりました。
2007年のサブプライムローン問題、2008年のリーマンショック、2010年のギリシャの財政問題があり、EU内でも失業率は高止まりが続きます。
しかし、ドイツは大きな影響を受けたにもかかわらず低い失業率を堅持しました。
これは2003年のシュレーダー元首相により打ち出された労働市場改革によるものです。積極的な就労促進策、労働時間の柔軟な運用によって就労が進みました。
労働コストが相対的に低い東欧の国々に打ち勝つため、雇用の維持と同時に賃金の上昇抑制の取り組みが広がり、企業の競争力を高めたのです。
健全な国家財政
国家財政の健全さも顕著です。国の歳出と収入を示す財政収支を見てみると2014年に財政が黒字に転換すると2015年にはGDP比で0.7%に拡大します。
2007年以降の世界的な金融危機などによって、各国の財政収支が悪化する中、ドイツは速やかな改善を見せました。
独り勝ちとまでいわれるようになったドイツ
東西ドイツ統一による混乱で、欧州の病人とまでいわれたドイツでしたが、上記の経済政策によって2000年代後半以降、独り勝ちとまでいわれるようになりました。
労働者の社会保険料分担を免除される低賃金労働や派遣労働のあっせんが広げ、とにかく就労を促進したのです。一方、取得税、法人税の引き下げも取り入れました。
労働コストを下げることによってドイツ企業の輸出競争力を向上させることに成功したのです。
追い打ちとなったのがEU内の単一通貨ユーロの導入です。ユーロの為替レートはユーロを採用した国全体の経済状況から反映して決まります。
このため好調のドイツであっても、ユーロ圏の他の国の経済が低迷しているとユーロ安が進むことがあります。
輸出産業依存の強いドイツにとって、このユーロ安はとても恩恵を受けているわけです。